浮気されても離婚しない妻へ ~遺言書で浮気相手の子から財産を守る!~

浮気されたからといって、すぐに離婚する方ばかりではありません。

一般的には、浮気されると真っ先に「離婚」「慰謝料請求」という発想が浮かぶと思います。

中にはしっかりと弁護士をたてて夫と浮気相手双方に慰謝料請求される方もいらっしゃるでしょう。

夫に見切りをつけて離婚される方もいらっしゃいます。

しかし、離婚できない、したくない妻もいます。

離婚しない妻の中には事を荒立てずに夫婦関係修復を望む方も多いと思います。

浮気されて心身ともに傷つき消耗していることでしょう。

その上さらに夫や浮気相手と争うことよりも、一日も早く忘れて元の生活に戻りたいと考える方もいらっしゃると思います。

そんな方でも夫に「自筆証書遺言」を作成させてください。

ご存知かと思いますが、夫と浮気相手の間に子どもがいればその子に相続が発生します。

離婚しないと決めたのなら、夫婦の財産を浮気相手の子から守ってください。

~遺言書で浮気相手の子から財産を守る!~




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1.「うちは関係ない」はない

浮気されても必ず子どもができるとは限りません。

今回の浮気では子どもができなかったかもしれません。

しかし、次の可能性はどうでしょう?

  

〇夫・浮気相手が嘘をついていて本当は子どもがいる

〇浮気相手が夫に黙って子どもを産む

〇浮気は今回のみではない。過去・将来に渡って浮気相手の子ができないとは限らない

  

浮気を隠れてコソコソするような人たちです。

妻に本当のことをどこまで話すのでしょうか。

特に、浮気相手が勝手に身ごもって子どもを産んでしまっていたら困ります。

仮に夫が認知しなくても子どもには「認知を請求できる権利」があるからです。

夫が死亡したときにひょっこりとあらわれ、請求してくるかもしれません。

「それならもし子どもを勝手に産んでも認知しない、と一筆書かせればよいのでは?」と思われる方もいらっしゃると思います。

残念ながら、子どもから父親への認知請求権は放棄できません。

愛人や子供に「認知請求権は放棄します」と一筆書かせても無効になってしまいます。

だからこそ、一度でも浮気された妻にとっては「うちは関係ない」ということはありえません。

(参考:妻にバレたくない!戸籍から認知した子供を消す方法は?

  

2.実際にどれくらい浮気相手の子に渡るのか

妻と子の相続割合はそれぞれ2分の1ずつです。

またご存知の方も多いと思いますが、平成25年9月に非嫡出子も嫡出子と相続分が平等であるという判決がでました。

つまり、どういうことかというと…

以下、事例ごとに相続割合を表にします。

  

夫婦間に子どもがいないケース

 法定相続割合
2分の1
浮気相手の子2分の1

  

夫婦間に子どもがいるケース

 法定相続割合
2分の1
夫婦間の子2分の1
浮気相手の子

赤字部分の2分の1は子どもの人数で均等に割ります。

例えば、夫婦間の子が2人、浮気相手の子が1人の場合。

子どもは合計3人なので、それぞれ6分の1ずつ相続します。

  

もしも妻が先に死亡した場合

 法定相続割合
夫婦間の子人数で割る
浮気相手の子

子の人数の合計で均等に割ります。

  

3.遺言書の効力は?

遺言書ではもちろん「妻に全財産を相続させる」または「妻と子○○(夫婦間の子)に全財産を相続させる」という内容にしましょう。

しかし、残念ながら浮気相手の子には「遺留分」というものがあります。

遺言書で相続させないことを明記しても、浮気相手の子は最低限の遺産を請求できる権利があるのです。

どれくらいかというと、本来の法定割合の2分の1です。

例えば、相続人が妻、浮気相手の子1人、相続財産2,000万円の場合

 法定相続分

遺言書あり

(全財産を妻へ)

1,000万円 1,500万円
浮気相手の子1,000万円

500万円(遺留分)

残念ながら遺留分として500万円はありますが、それでも法定相続分1,000万円を請求されるよりはまだマシです。

浮気相手の子に渡す相続財産を1円でも減らすためにも、夫に遺言書を作成させましょう。

  

4.なぜ「自筆証書遺言」なのか

遺言というと「公正証書遺言」もあります。

公証人役場で作成し公正証書として残す遺言書です。

もちろん、自筆証書遺言よりも厳密なものになります。

しかし、作成費用が高額(10万円ほど 内容により異なる)であり、なかなか気軽に何度でも作成できるものではありません。

「浮気されても離婚しない」ご夫婦はそこまでご高齢の世代ではないと思います。

これから子どもをつくる、資産を増やしていく過程なのではないでしょうか。

だからこそ気軽に書き換え可能な「自筆証書遺言」を夫に作成させることをお勧めします。

その時々のライフステージに合わせて変更していくことがベストです。

もちろん保管は妻がしましょう

※自筆遺言証書は勝手に開封できません。裁判所の検認が必要です。勝手に開封するとせっかくの遺言の内容が無効になるだけではなく、妻が相続できなくなる可能性もあるので注意してください。

(参考:自筆遺言証書を法務局で保管するメリット

  

5.まとめ

夫に浮気されたからといって離婚したり慰謝料請求したりできる妻ばかりではありません。

穏便に夫と夫婦関係を修復したいとお考えの方も多いのではないでしょうか。

しかし、万が一に備えてせめて夫に遺言書は作成してもらいましょう。

せっかく修復しても相続のときにまた嫌な思いをすることになってしまいます。

また離婚ではなく修復を選んだのであれば、夫は家庭を取ったということです。

夫や浮気相手へ制裁をあたえない代わりに、ぜひ家族を守るために「遺言書」を作成してもらいましょう。(もちろん法律の範囲内で制裁はOKです)

  

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