一般的に戸籍では親と子が記載されています。
それでは養子縁組したらどうなるのでしょうか。
養子先の親(以下、養親)は戸籍に記載されますが、本当の実の親(以下、実親)はどうなるのでしょうか。
親の戸籍にはどのように表示されるのでしょうか。
このページではそんな疑問を解消していきます。
1.はじめに
養子縁組、といっても2種類あります。
普通養子縁組と特別養子縁組です。
それぞれで戸籍の記載方法が異なります。
それでは普通養子縁組と特別養子縁組について、その内容と戸籍の表示方法についてみていきます。
2.普通養子縁組と戸籍
普通養子縁組とは、特別養子縁組以外の通常の養子縁組になります。
具体例としては、婿養子に入る、連れ子と再婚相手が養子縁組する、相続税対策で孫を養子に入れる…
このような養子縁組はすべて「普通養子縁組」になります。
普通養子縁組は養子は必ずしも未成年とは限りません。
どのように戸籍に記載されるか2パターンみていきます。
①養親の戸籍に養子が入るケース
一般的な戸籍に子供が記載されるのと同じように養子の情報が記載されます。
実子と異なり「養子」と記載され、養子縁組した日と従前の戸籍(養子縁組する前の戸籍)の本籍地などが記載されます。
また、養親については「養親」と、自分の実の父母については「実親」として記載されます。
養子縁組の内容により、最大で親が4人記載されることもあります。(養親2人、実親2人)
養子縁組しても、実親とは縁が切れるわけではありません。
その為、相続が発生した際には、実親の相続人になったりもします。
例えば養子が将来結婚して新しく戸籍を作ったとしても、実親の情報はずっと養子の戸籍に記載され続けます。
同じく養親の情報も離縁しない限り、養子が転籍を繰り返してもずっと戸籍に記載されます。
②養子が養親の戸籍に入らないケース
例えば養子が結婚していたり、子供がいて自分の戸籍があったりするケースです。
この場合は養子縁組しても養親の戸籍に養子は入りません。
養親、養子それぞれの戸籍には養子縁組した日などが記載されます。
このケースでも①と同じように、養子の戸籍にはしっかりと実親の情報は記載されます。
3.特別養子縁組
「特別養子縁組」とは、子どもの福祉の増進を図るために、養子となるお子さんの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度です。(厚労省HPより抜粋)
特別養子縁組をするには、子どもの年齢や実親の同意など一定の要件があります。
その要件を満たして、さらに家庭裁判所の許可を経て養子縁組します。
例えば、虐待を受けている子どもなど、家庭裁判所の許可を経て養子縁組するケースです。
この場合は、上記で記載のとおり「実親との法的な親子関係を解消」します。
このケースでは普通養子縁組のように養子が養親の戸籍に入らない、という選択はありません。
普通の養子縁組と大きく異なる部分としてはすぐに養親の戸籍に入らないことです。
実親の戸籍⇒養子の戸籍⇒養親の戸籍
このようにいったん「養親の苗字で」「養子だけの戸籍」を作成します。
では実親と養子の戸籍はそれぞれどのようになるのかみていきます。
①実親の戸籍
「実や都の法的な親子関係を解消する」といっても実親の戸籍から子供の情報は消えません。
「除籍」として残ります。
転籍をした場合には新しい戸籍には除籍の情報は記載されませんが、古い戸籍には子供の情報は残ったままになります。
(参考:妻にバレたくない!戸籍から認知した子供を消す方法は?)
②養子(養親)の戸籍
養子はいったん養子本人だけの戸籍を作りますが、すぐに養親の戸籍に入ります。
戸籍に実の親は記載されませんし、戸籍に入るときの苗字も養親と同じ苗字です。
代わりに養親が「実親」として記載されます。
このようにいったん養子だけの戸籍を作成することで、一見、養子縁組したことがわからないようにします。
ただし、養子の身分事項として「民法 817条の2」と記載されるため、注意深くみれば特別養子縁組だとわかるようにはなっています。
実の親との関係は解消されるので、実親と養子の間に相続は発生しません。
4.養子縁組と戸籍 まとめ
このように、養子縁組といっても2種類あり、それぞれ戸籍の記載方法は全く異なります。
実の親については特別養子縁組をしないかぎり、一生涯戸籍にその名前が表示されます。
例えば、連れ子の実親と離婚して、再婚相手と養子縁組させた場合でも、離婚した元配偶者は「実親」として子の戸籍に表示され続けます。