「戸籍」といっても種類があります。
戸籍謄本、除籍謄本、戸籍全部事項証明…
役所で取得するときにどれを取ればいいのか迷ったりしたことがあるのではないでしょうか。
どんな種類の戸籍があるか、それぞれどういった内容か、どんな時に使うのか解説します。
1.戸籍の種類
いわゆる一般的な「戸籍」
現在の戸籍は電子化されて住民票のような見た目になっています。
戸籍には「全部事項証明書」「個人事項証明書」「一部事項証明書」の3つの種類があります。
それぞれの違いをみていきます。
戸籍全部事項証明書
その戸籍の内容がすべて記載されている証明書です。戸籍に入っている人全員分。婚姻などで戸籍から抜けた場合には、抜けた人についてはそこから先の情報は新しく入った戸籍へ記載されます。(ただし、旧戸籍に入っていた時の情報は消されずにそのまま残り続けます)
戸籍個人事項証明書
その戸籍に入っている特定の人だけの情報が記載されています。
戸籍一部事項証明書
戸籍の内容の一部のみを記載した証明書です。例えば、お父さんと息子の分のみなどです。
除籍
戸籍に入っている人すべてが亡くなってしまったり、すべての人が戸籍から抜けてしまったりする場合があります。
その場合でも戸籍がなくなるわけではありません。
その戸籍が作られた時から最後の一人が亡くなる(または抜ける)までの期間の戸籍を除籍と呼びます。
除籍も戸籍と同じく「全部事項」「個人事項」「一部事項」と3つの種類があります。
また、亡くなったり、結婚、離婚などで戸籍から抜けることを「除籍する」「除籍になる」といいます。
改製原戸籍
電子化される以前の戸籍です。
戸籍といえば手書きのものを思い浮かべる方も多いと思います。
その手書きの戸籍がこの改製原戸籍です。
一般的に馴染みのある「戸籍謄本」「戸籍抄本」とはこの改製原戸籍のことを指します。
電子化された戸籍では
「謄本」⇒「全部事項証明書」
「抄本」⇒「個人事項証明書」
この改製原戸籍にも同じく除籍があります。
ちなみに謄本と抄本以外にも「原本」があります。
戸籍の原本は役所に保管されているもので、交付はされません。
「謄本」とは原本をすべて写したもの、「抄本」は一部抜粋して写したものを意味します。
※全国一斉に戸籍が電子化されたわけではありません。改製原戸籍から電子化への移行時期は各自治体によって異なります。
附票
戸籍に入っている間の住所地一覧が記載されているものです。
除籍したら、それ以降の住所地は記載されません。
新しく入籍した戸籍の附票にそれ以降の住所地が記載されるようになります。
この住所地は住民票記載の住所になります。
住民票と違って、別の市町村へ移転しても戸籍の異動がなければ附票に一覧として住所地がきさいされます。
再製原戸籍
再製される前の戸籍です。
戸籍の再製とは、戸籍を作り直すことです。
たとえば、天災等で戸籍がなくなってしまった場合には役所で戸籍を作り直します。
また、戸籍に記載されている名前が間違っている場合など家庭裁判所の許可を経て訂正することができます。(訂正前の間違った情報は記載されません)
2.それぞれどんな時に使うのか
さまざまな種類がある戸籍。各種類の戸籍はいったいどんな時に使うのか、以下それぞれの種類別にみていきます。
全部事項証明書と謄本
相続手続き、相続人の調査の時に取り寄せる戸籍はこの「全部事項証明」または「謄本」になります。
電子化されたもの、改製原戸籍・除籍ともにすべて記載された戸籍が必要です。
また、結婚や離婚、養子縁組、本籍地の移転など戸籍の内容を変更する時は全部事項証明書(今現在の戸籍)が必要になります。
個人事項証明書・一部事項証明書・抄本
パスポート取得の時など全部事項証明書のかわりに一部抜粋したものを提出することが可能です。
逆に、提出先で全部事項証明書を求められていない場合には、わざわざ不要な情報まで開示する必要はありません。
附票
例えば、ある人の住所を特定する時に取得することがあります。
住民票を請求して調査するのが一般的ですが、何度も住所地を変更している場合には住民票を多数請求しなければいけません。
そんな時に附票を請求して戸籍に入っている間の住民票異動を一度に調査し、時間とコストを削減する場合があります。
注)戸籍・住民票ともに法的に認められた人しか請求できません。個人的な興味で住所地を調査するための取得は違法です。(参考:戸籍を請求できる人)
3.まとめ
このように「戸籍」といっても細かくみていくと様々な種類があります。
戸籍にはさまざまな個人情報が詰まっています。
個人情報を守るためにも、何のために戸籍を取得するのか、どこまでの情報が必要なのかを確認し、戸籍を取得するようにしましょう。