戸籍は個人情報が詰まった書類です。
特に個人情報の取扱いについては年々厳しくなっています。
以前は戸籍の請求は誰でもできました。
しかし現在では、戸籍を請求できる人は法律によって制限されており、本人確認も厳しくなっています。
では、いったいどのような人が戸籍を請求できるのかまとめてみました。
本人
戸籍に名前が記載されているその人本人です。
婚姻などによって戸籍から抜けた後も、その人の名前が記載されている戸籍は請求することができます。
配偶者
配偶者は本人の戸籍を請求できます。
直系尊属
直系尊属とは両親、祖父母、曾祖父母などです。本人からみて真上の親族です。傍系尊属であるおじ、おばは該当しません。しかし、おじやおばでも養子縁組などで同じ戸籍に入っている場合は請求できます。(ただし、別の戸籍になっている場合は請求できません)
直系卑属
直系卑属とは子、孫、ひ孫などです。本人からみて真下の親族です。傍系卑属である兄弟、いとこは該当しません。兄弟は婚姻前に同じ戸籍に入っていれば本人として請求できます。またおじやおばと同様に養子縁組などで同じ戸籍に入っている場合は兄弟・いとこでも取得できます。(ただし、別の戸籍になっている分は請求できません)
第三者請求
本人や親族以外にも第三者が戸籍を請求できるケースがあります。
第三者が請求できるケースについては、以下のように法律で定められています。
戸籍法第十条の二より
一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由二 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由三 前二号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由
簡単にまとめると、自分の権利行使や義務の履行のために必要な人、裁判所などの機関へ提出する必要がある場合などは請求できます。
具体的にどのようなケースがあるか、2つ例を挙げます。
- 兄弟それぞれ戸籍が別の場合には、弟は別戸籍に入っている兄の戸籍を、兄は別戸籍に入っている弟の戸籍をお互いに請求できません。しかし、兄が死亡、弟が相続人となった場合には、遺産分割で裁判所へ、登記で法務局へ戸籍の提出が必要な場合があります。そのような場合には請求できます。(参考:相続では誰の戸籍をどこまで取得するか)
- 債務者が死亡して相続が発生した時には、債権者は相続人を特定するために戸籍を請求することができます。借金などの債務も相続されるからです。債権者は相続人に債務を請求するすることができます。ただし、相続人が相続放棄した場合は請求できません。(参考:相続人への債権回収)「債務者の実家を知りたい」という目的でも戸籍を請求することはできません。(参考:債務者の実家へ取り立てたい!戸籍や住民票は取得OK?)
国または地方公共団体の機関
必要がある場合は、国または地方公共団体の機関は請求することができます。
例えば、身寄りのない人が死亡した時に市町村が相続人を調査する場合、警察の捜査などです。
職務上請求
弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士は、受任している事件または事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍を請求することができます。
※「元彼女の住所を知りたい」「債務者の実家の住所をつきとめたい」このような内容はそもそも士業の業務ではないので職務上請求は使用できません。